
こんなお悩みにお答えします。
筆者は夫の海外赴任に帯同するために会社を退職し、現在はアメリカで駐在妻をやっています。退職後は約2週間で渡米したので届いていない書類があったり、渡米後に初めて知った手続きがあったりとてんやわんやでした…
ここでは筆者の経験をもとに退職に伴って必要な手続きについてわかりやすく解説します。
駐在妻/夫が退職後にするべき手続き
再雇用制度
再雇用制度とは配偶者の出向に帯同するなどの事情で退職せざるを得なくなった従業員を再雇用する制度です。ジョブリータンやキャリアリターンと呼ぶ企業もあります。最近は導入している企業も増えていますので人事に確認してみるのをおすすめします。

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配偶者の扶養に入る
配偶者の扶養に入ると健康保険と国民年金保険料を配偶者の会社に払ってもらうことができます。申請は配偶者が会社で行います。駐在妻(夫)が準備すべきは以下の書類です。
必要書類
- 戸籍謄本(原本)
- 退職証明書(原本)
- 離職票(離職票1と2両方必要)
- 源泉徴収票(写しでも可)
- 年金手帳の年金番号がわかるページの写し
戸籍謄本
日本にいる間に忘れずに取得しておきましょう。「会社によって3か月以内に取得したもの」などの指定があるので、出国直前に取得するのをおすすめします。

退職証明書
退職前に会社からもらえました。
離職票
離職票1と2の2枚あり、両方とも提出します。

源泉徴収票
退職後、約1か月で会社から送付されます。

年金手帳
荷物に詰める前に写しを取っておきましょう。

失業手当
手続きはまだしていませんが、帰国後手続きしようという結論に至るまでに調べたことを共有します。手続きを終えたら経験を元に記事を更新します。
失業手当とは?
会社勤めしているならば雇用保険に加入しています。給与明細の引き去りの欄に「雇用保険料」という項目があるはずです。雇用保険に加入していれば退職後に「失業手当」として元の収入の50~80%程度の金額がもらえる可能性があります。
失業手当をもらうための条件
- 働く意思と能力があるにもかかわらず失業状態にある
- 離職日前の2年間の内、通算12カ月以上雇用保険に加入している
- ハローワークで求職している

失業手当受給期間の延長
受給期間の延長とは?
基本的に失業手当を受給できるのは離職した日の翌日から1年以内です。しかし海外移住後にハローワークで求職するわけにはいきませんよね。就職活動をするのは帰国後だと思います。そのような駐在妻(夫)は失業手当受給期間の延長ができます。
受給期間は最大で3年延長できます。もともと1年の受給期間があるため、合わせて最大4年まで伸ばせます。

用意するものは以下の通りです。
必要書類
- 受給期間延長申請書
- 離職票(離職票1と2両方必要)
- 本人の印鑑
- 延長理由を証明する書類
受給期間延長の申請は
①出国前
②出国後(郵送または代理人に委任)
③帰国後
のいずれのタイミングでもできます。
申請タイミング①:出国前
こんな人向け
- 退職後1カ月以上国内に留まる
- 管轄のハローワークが出国前の申請を許可している
延長申請は離職日から30日以上経過するとできるようになるため、退職後1か月以内に出国する方は出国前の申請はできません。
出国前には延長申請できないとしているハローワークもあるので、管轄のハローワークに確認しておく必要があります。
申請タイミング②:出国後
こんな人向け
- 日本にいるうちに申請できなかった
- 早めに申請を済ませたい
本人が海外にいても委任状を書いて代理人に頼むか、郵送で必要書類を提出すると申請できます。方法はハローワークによって異なるため、管轄のハローワークに確認してみてください。
申請タイミング③:帰国後
こんな人向け
- 退職後4年以内に帰国する
- 帰国後の様子を見て決めたい
受給期間の延長申請は退職後4年以内であれば可能なので、この期間中に帰国予定なら申請できます。

失業手当受給時の注意点
失業手当を受け取ると雇用保険の加入期間がリセットされます。
例えば再就職先を数か月で退職してしまった場合は「通算12カ月以上雇用保険に加入している」という失業手当の受給条件を満たせないので、失業手当を受け取れなくなります。

準確定申告
通常の確定申告は2~3月に行いますが、駐在妻(夫)はその期間に日本にいないこともあります。準確定申告なら時期は関係なく、必要書類がそろい次第、税務署で申告できます。申告時期が違うだけでやる事は普通の確定申告とほぼ同じです。準確定申告すれば出国前までの所得に対して還付金が受け取れます。
必要書類
- 確定申告書(税務署にある)
- 源泉徴収票
- マイナンバーカードまたは番号確認書類
- 印鑑
- 還付金の受け取り口座
- 医療費や保険など、控除対象の領収書(なければ不要)
出国までに必要書類が集まらない場合は納税管理人を決めて代わりに準確定申告してもらうこともできます。また、5年以内なら帰国後に申告して還付を受け取れます。詳しくは国税庁HPをどうぞ。
収入が2000万円を超えている場合や自営業の場合、海外移住後も日本で収入がある場合などは納税管理人を立てて普通の確定申告をする必要があります。
住民税
住民税を納めるべき期間
住民税は住んでいる間だけ納めればいいものではありません。1月1日時点で日本に住民票があれば、その年の6月から翌年の5月までが住民税の納付期間です。一方で12月31日かそれより前に海外移住した場合は翌年の6月から翌々年の5月までは住民税を納める必要がありません。海外に住んでいても日本に住民票を残したままだと住民税を払い続けなくてはいけません。
住民税の納め方2つ
退職後、再就職しない場合の住民税納付方法は以下の2通りです。
自営業者と同じ「普通徴収」
特に希望しなければ普通徴収になります。
退職した翌月に家に納税通知書(納税額や納付時期が書いてある書類)が届き、支払い時期が来たら納付書が届くのでコンビニなどで納付します。支払いは6月末に一括払いするか、年4回に分けて払うかを選ぶことができます。
海外にいる人は納付できないので、納税管理人を申請して代わりに納税通知書や納付書を受け取って住民税を納めもらう必要があります。納税管理人はお住いの地域の役所で申請できます。
会社が一括して払ってくれる「一括徴収」
一括徴収とは退職後に払う予定だった住民税を、退職月の給料や退職金から一括で引いてもらう方法です。一括ですべて払い終えればそれ以降は払わなくていいので楽です。希望する場合は会社にその旨を申告しましょう。

給料や退職金より住民税の方が高いなどの理由で一括徴収できない場合は、普通徴収になります。
企業型iDeCo
会社で企業型iDeCoに加入していた場合は個人型iDeCoに移管する手続きが必要です。詳しくはこちらの記事で解説しています。
詳しくはこちら
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まとめ
駐在妻(夫)は海外移住するため、普通の退職と比べてやることが多いです。筆者も役所に行ったり来たりして手続きを行いましたが、中には知らなくてできなかった手続きもあります。これから出国される方に筆者の経験が参考になればと思います。
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