

こんなお悩みにお答えします。
結論から言って、海外赴任や留学などで長期間海外に住む方は事前に証券会社に申告する必要があります。申告せずにバレた場合、口座を凍結される恐れがあります。申告した場合も証券会社によっては口座閉鎖となることがあります。
筆者は楽天証券で株を買っていましたが、アメリカに移住する際に口座を閉鎖することになりました…
海外移住前に自分が持っている有価証券がどうなるのかを確認しておくことをおすすめします。
ここでは海外移住を控えているあなたに向けて、アメリカ移住した筆者の楽天証券口座がどうなったかと出国前に確認すべきこと4つについてわかりやすく解説します。証券口座を持つ人が海外移住前に何をすべきかがわかる内容になっています。
前提:どれくらい住むと海外移住とみなされるのか
海外に滞在するといっても旅行はもちろん居住とみなされません。滞在期間によって旅行なのか移住なのかが分かれます。楽天証券では以下のように分類しています。
出国予定期間 | 手続き |
---|---|
1年未満※1 | 手続きは不要です。 |
1年以上 5年未満 | 事前手続きが必要です。以下②をご確認ください。 |
5年以上 | 口座を継続できません。手続きはこちら |
期間未定 |
※1 渡航先が米国の場合、以下の合計が183日以上であれば事前の手続きが必要です。
① 出国される年の米国滞在日数
② 出国される年の前年の米国滞在日数の1/3
③ 出国される年の前々年の米国滞在日数の1/6
引用:楽天証券 海外出国のお手続き
1年以上出国する場合は海外移住とみなされるので手続きが必要です。出国期間が5年以上または未定の場合は口座を解約する必要があります。
アメリカ移住の場合
出国先がアメリカの場合は出国期間が1年未満であっても、「出国した年の米国滞在日数」と「出国した年の前年の米国滞在日数÷3」と「出国した年の前々年の米国滞在日数÷6」の合計日数が183日以上であれば出国とみなされます。

失敗談:楽天証券口座を閉鎖した話
筆者は色々調べた結果、持っていた全ての有価証券を売って楽天証券口座を閉鎖せざるを得ませんでした…なぜそうなったのかと、有価証券を移管せずに売ったのはなぜかについて解説します。
HPに口座維持できるって書いてあったのに…
海外移住の際の口座の取り扱いについて、楽天証券のHPには次のように書いてありました。
当社に証券総合口座をお持ちのお客さまが、海外勤務等の理由により一時的に出国「(本邦)非居住者」される場合、原則「帰国されるまでの間」も当社の証券総合口座(お客さま名義)にて有価証券等をお預けいただくことができます。
引用:楽天証券 海外出国のお手続き
2022/2/14 追記
現在はHPの記載が変わっていて、海外移住の場合は例外なく手続きが必要と書いてあります。

とアメリカ行きが決まっていた筆者も思っていました。ですが、いざ電話をかけてみると
「楽天証券ではアメリカのQI制度に対応していませんので、お手持ちの商品は売却し、口座は閉鎖していただく必要があります。」
と言われました。「QI制度って何?」ですが、とりあえず株を持ったままアメリカには移住できませんとのことでした。
この時聞いたのはNISAの投資信託と外国株についてですが、どちらも売却または移管しなくてはいけなかったです。結局持っていた株はすべて売却することにしました…口座を開設する前に問い合わせて確認しておくべきだったと後悔しています。
移管じゃだめなの?
移管とは
他の証券会社に有価証券を移すことを移管といいます。証券会社によっては数千円の手数料が掛かります。
出国までに数か月あれば移管の手続きができます。出国後も口座が維持できる証券会社に移管してしまうのはどうでしょうか?
結論から言うと移管はできるのですが、手続きとその後の対応がかなり面倒です。楽天証券で投資信託(NISA)と海外ETFを持っていた筆者は売却を選択しました。
理由は以下の通りです。(楽天証券の場合の話です。)
NISAを売った理由:移管するのに手間が多い
- NISA口座同士の移管ができないため、特定口座か一般口座に移す必要がある
- NISA口座以外に移してしまうと利益に課税される
- 投資信託は移管手数料がかかる
特定口座と一般口座の違い
簡単に言うと特定口座は証券会社が税金を計算して払ってくれる口座、一般口座は自分で税金を計算と確定申告をする口座です。
海外ETFを売った理由:一般口座にした後の確定申告が面倒
- 外国株(ETF)を移管する場合は一般口座に移す必要がある
- 日本の制度上、一度一般口座に移したら特定口座に戻せない
- 一般口座だと毎年自分で税金計算と確定申告をしなくてはいけない

楽天証券における移管の条件は↓に簡単にまとめてみましたので参考にしてみてください。
投資信託 | 日本株 | 外国株 | |
移管手数料(出庫時) | 1銘柄当たり3,300円 | 無料 | 無料 |
特定口座同士での移管 | 可 | 可 | 不可 |
参考:楽天証券HP 振替(移管) その他の手数料・費用
対策:証券会社に確認すべきこと4つ
出国前の手続きには時間が掛かるので、早めに確認しておきましょう。手続きを始める時期の目安は移管なら2~3か月前まで、廃止手続きなら1か月前までです。
確認すべきことは以下の4つです。
- 海外移住後も口座維持は可能か
- 保有している有価証券はどうなるのか
- (NISAをやってる方は)NISA口座は維持できるか
- (移管したい方は)保有している商品の移管手数料、特定口座維持の可否
海外移住手続きなどについて、楽天証券は↓のリンクから調べられます。
問い合わせはこちらです。
おまけ:筆者が調べた各証券会社の対応
楽天証券の他にも野村證券、SBI証券、SBIネオモバイル証券、マネックス証券にも問い合わせてみました。一番サービスが充実していたのは野村證券です(さすが)。筆者が感じたメリットとデメリットを簡単にまとめてみました。
野村證券のメリット
- NISA口座は海外移住中も帰国後も維持できる(ただし、5年以内に購入したものが対象)
- 特定口座で持っている投資信託や株式は、海外移住時に一般口座に移されるが、帰国後特定口座に戻すことが可能
野村證券のデメリット
- 取引手数料が高い(ネット証券の倍くらい)
手数料が痛いですが、買うのは手数料が安いネット証券にして、移住が決まったら野村證券に移管してしまうのもありかなと思います。
その他の証券会社の対応は以下です。
SBI証券
- 株も投資信託も海外移住時は一般口座に移され、帰国後に特定口座には戻せない
- 海外移住中も口座維持は可能
- 外国株も国内株も特定口座どうしの移管が可能
SBIネオモバイル証券
- 海外移住時は解約
マネックス証券
- 外国株は海外移住時に維持できないため、売却または移管する必要あり
- 国内の投資信託は維持可能で、海外移住時に一般口座に移されるが帰国後に特定口座に戻せる
- 外国株も国内株も特定口座どうしの移管が可能
このように、証券会社によって対応は異なります。海外移住の可能性がある人にとっては証券会社を選ぶ基準の1つになります。
まとめ:どの証券会社にすべきか
最近は楽天証券が人気ですが、記事を書くにあたって色々調べてみると、海外移住する可能性があるなら野村證券、SBI証券、マネックス証券辺りがいいのではと思いました。野村證券なら帰国後も特定口座を維持できます。マネックス証券は投資信託なら帰国後も特定口座を維持できます。SBI証券は手数料が安いですし、帰国後に特定口座に戻したければ特定口座のまま野村證券に移管してから出国するという手もあります。海外移住時の対応も加味すると証券口座の見方が変わりました。
関連記事
-
-
【海外移住・海外赴任準備まとめ】経験者が教えるアメリカ駐在前やることリスト
海外移住が決まったけど何から準備すればいいの? こんなお悩みにお答えします。 おゆアメリカ在住のおゆと申します。夫の海外赴任に帯同するため、アメリカに移住しました。 海外移住に当たっては普通の引越し準 ...
続きを見る